材木の耐用年数
推定樹齢約100年のエノキを見ました。木は概ね長寿です。では、製材して材木となった木はどうでしょうか?
朽ちていく木を目にしたことはあると思います。これは木材腐朽菌と呼ばれる一群の微生物が木材の細胞壁を分解するために起こる現象です。
1999年東京の旧丸の内ビルディング(通称丸ビル)は取り壊されました。1923年(大正12年)に建てられた旧丸ビルは同年に起きた関東大震災で外壁や構造などに損傷を受けたものの、被災者救援の拠点になり、その後すぐに改修、補修され1999年までの76年間東京丸の内の象徴的なビルディングとして全うしました。取り壊しの際、地下から無数の松の丸太が発見されています。基礎丸太です。大正時代には丸太が使われていたのですね。この丸太、取り出した際、全く腐っていなかったそうです。80年近くもの間、なぜ腐ることなく丸ビルを支えて続けることが出来たのでしょうか。その答えは使用環境にありました。地下深く埋められていた丸太は、腐朽菌が必要とする酵素が充分供給されず、菌が繁殖できなかったのです。使用環境次第で木材は充分に長持ちするということですね。
もう少し身近な例では家具があげられます。普通に使っている分には腐った家具は見かけたことがありません。これは、「乾いた木は腐らない」からです。
ではウッドデッキなど外で使われるものはどうでしょうか。考え方は同じです。「乾いた木は腐らない」。出来るだけそういう使用環境に近づけることです。少しの工夫と努力とで部材の寿命を大幅に伸ばすことが出来ます。雨がかかりにくく水が溜まりにくい構造や雨仕舞いを工夫したり地面から水分が供給されないよう、木材を地面から離しておくことも大事な工夫です。
また、木材を屋外で使うかぎり、水がかかるのを防ぐことはできません。そこで水分が木材に侵入するのを防ぐ努力が必要です。そこで撥水性のある塗料や、ワックス、オイルなどを塗装するのです。
塗装についてはまたの機会に書きたいと思います。
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