木工作

楽器と木材~ドラムスティック編~

先日、地元のホールで音楽のライブイベントが催されました。皆さんそれぞれ楽器を手にとって素晴らしい演奏をされていました。
ところで音楽に使われている楽器の多くは、様々な木材が使われています。ギターなどの弦楽器、ピアノ、打楽器、サックスなどの木管楽器などなど。打ち鳴らしたり、振動させて音を増幅させたりと木材ならではの効果が楽器には利用されています。
楽器は高価な物も多く、それを作るのは熟練された技を持つ職人さんです。同じように木材を扱い、木材加工業を営んでいる私どもm-kinoにはちょっぴり敷居が高く恐れ多いのですが、今回は比較的わかりやすい構造のドラムスティックについて書いてみたいと思います。ドラムスティックは文字通りドラムを叩くための道具で、ほとんど全てが木材で作られています。
①木材の種類
木製ドラムスティックの木材の種類は『オーク』『ヒッコリー』『メープル』の3種類。これらは特定の樹種を示しているものではなく、総称です。
②音の違い
これらは密度、すなわち単位体積あたりの重量が異なります。重い順番に『オーク』『ヒッコリー』『メープル』となります。重いほど打面の接触時間が長くなり音量が大きくなったり重低音が出ます。反対に軽くなるに連れて明るいニュアンスの高音の響きになります。そのような物理的理由で一般的にハードなロック系などの音楽には『オーク』を、繊細な動きを求められるジャズなどには『メープル』が好んで使われることがあります。ジャンルを問わず最も多く使われているのは、適度な重さと弾力性のある『ヒッコリー』と、材質による音の違いがあります。
③形状
棒状のスティックは、先端から『チップ』『ショルダー』『グリップ』と大きく分けて3つの部位からできています。
『グリップ』はスティックを握る箇所、『チップ』は打面、『ショルダー』はスティックの重心を決める箇所で、『グリップ』『チップ』の間の少し細くなった箇所で同じ力で叩いた場合『チップ』よりの重心になれば重い音、『グリップ』よりの重心になれば軽い音になります。
④チップの形状打面である『チップ』には大きく分けて4つの形状があります。打面への接触面積の違いをもたらすことにより音質を変化させます。特にシンバルを叩いた時に違いがわかりやすくなります。
●丸型
●ティアドロップ型(涙型 卵型)
●スクエア型(俵型、四角型)
●三角形型
接触面積が少ないほど繊細な音の変化がつけやすなりますし(三角形型)、多いほど(スクエア型)大きな音を出しやすくなります。それらのバランスが程よいので、初心者は丸型が良いとされています。       三角型よりのティアドロップ型       ティアドロップ型よりの丸型スクエア型
ティアドロップ型       三角型に近いティアドロップ型

とこのように、材質や形状により音に違いが出てきます。楽器の中では比較的簡単な構造のドラムスティックでさえこのように様々な工夫がほどこされています。ましてギターやピアノなどのより複雑な構造の楽器となると、良い音を出そうとすればするほどその製作はとてつもない繊細な作業になります。まさに匠の技です。 しかし、ドラムスティックのように組み立てたりする必要のない木材のみで作られた楽器であれば、物理的にはm-kinoにある様々な製造機でも制作することは可能です。
冒頭に書きました音楽イベントが大変素晴らしかったので、いずれまたドラムスティックを作ってみたいと思います。^ ^
その時はまたブログに書き記したいと思いますのでお時間がありましたらぜひお読みください。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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