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長所も短所も全部含めて

あの人はおっとりしてて感じが良いなぁと良い印象を持つ人もいれば、反対にぼーっとしてて鈍臭いと思われる人もいます。
おおらかな人は見方によってはただの大雑把と思われ、細かい人は角度を変えれば気配り上手な人といえます。このように長所があれば短所もあるのが世の常。表裏一体。短所がそのまま長所であったりします。
木材は自然から賜わる材料であるがゆえに、自然の温もり、安らぎを得られると同時に、自然の摂理に従った劣化、変化などはやむを得ないところです。
そんな木材の短所(短所という表現が適切かどうかわかりませんが)どうしても大なり小なり『反り』が出てしまうものです。木材は、水、或いは空気中の水蒸気を吸ったり吐いたりして膨らんだり縮んだりします。木の種類による材質や、製材する際におこなう乾燥処理などで抑止は出来ますが100%ではありません。
では、もしも反ってしまったらどうしたら直せるでしょうか?
あくまで物理的な話になりますが、反ってしまった木材は水で濡らせば膨張することにより直ります。
反り返ってしまった板があるとします。凹んだ方を水で濡らせば、木は膨らむので反りは確かに直ります。そして水を濡らしすぎると今度は逆側に反るようになってしまいます。ですからちょうどいいところで水を濡らすのを止めれば真っ直ぐな状態に戻ります。ところがです。こうやって反りを直したと思った板は時間が経つと、前よりも反った状態になってしまいます。
反りを直すには凹側を水に濡らすのではなく、凸側を水に濡らして、濡れている時は前よりももっと反りを大きくしたほうが、後々、反りが少なくなるのです。このような現象を加圧収縮といいます。あまり専門的な話をしてもややこしいのでやめておきます。
水で濡らすとどうなるかを実際にやってみます。板を用意して平らな場所に置きます。厚さは1㎝くらいです。スギ系の板です。マジックで印をつけてあります。こちらの印の面が凸面です。  そういえば余談ですが『木』が『反る』と書いて『板』ですね赤い矢印のあたりに隙間があり反ってることがわかります。黄色の矢印にマジックの印があります。反対側をみても、反ってることが分かります。
マジックの印側、即ち凸側を水に濡らします普通に考えると、凹側を水に濡らして膨張させて反りを直そうとするわけですが、それをすると時間の経過とともに余計に反り返ってしまいます。難しい説明は無しですが加圧収縮です。濡らした状態でしばらく放置します。もっと厚みのある板や堅い材質の板ならそれなりの時間がかかりますが、今回使用したスギなどの柔らかい材質の板なら2~3時間で変化が見られます。だいぶ乾いた状態で写真を撮りましたがこのように放置。すでに濡らす前に比べて変化しています。赤い矢印のところをみてみると、床面との隙間がなくなっています。黄色で囲んだ箇所は見にくいですがマジックの印です。すっかり乾いた状態です。反りがなくなりました。
他には太陽の光に凸の部分を向けて当てていると反りが直っていきます。これは太陽の光で凸面が乾燥され収縮されるからです。今回の実験は放置した場所が、太陽の光が当たる場所だったため相乗効果で結果が早く出てしまいました^^運動と食事制限を同時にするダイエットのようなものでしょうか^^もしもご自宅に写真のような板があれば、平らな場所に置いて、水で凸面、凹面それぞれを濡らしてみたり、太陽の光を当ててみたりしてその変化を体験してみてください。木が生き物だということを実感できるのではないでしょうか。反ってしまい困ることはありますが、それ以上に自然な温もりや安らぎを与えてくれる木材はやはり魅力的な材料なのだと思います。良いところ、良くないところ全部含めて、私どもは木材が好きです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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