接着剤~縁の下の力持ち~
昨年からおにぎりがブームになっているとテレビの情報番組で見かけました。外国人観光客の増加などの影響でジャパニーズソウルフードが見直されているとのこと。
今年はラグビーのワールドカップも日本で開催されますし、来年は東京オリンピックです。ますます日本のおにぎりがブームになるかもしれませんね。
さて、そのおにぎりに使われるおコメは実は接着剤として使われたりしています。障子貼りに使われているのが、ポピュラーかと思います。
そして、木工の現場でも接着剤は欠かせない材料です。(おコメは使っていませんが^^)
そこで今回は接着剤のことについて(やや強引な展開ではありますが)簡単に書いてみたいと思います(^.^)
●接着とは
①接着の第一歩は濡らすこと。
冷たい飲み物を入れたガラスのコップの底に水がたまり、持ち上げた時にコースターが一緒に持ち上がることがありますよね。または、乾いた雑巾より水で濡らした雑巾のほうがほこりをよくとりますし、指を濡らしてくっつけて紙切れなどを拾ったりした経験もあると思います。水はものをくっつけることができるのです。また油にも同じことがいえます。
②固める
しかし水や油がものをくっつけるといってもそれだけではすぐにはがれてしまうので接着剤とまではいえません。そこで、水や溶剤が蒸発したあとに硬化する成分を混合するのです。こういった成分は高分子であるからして…。とまあ、あまり細かく説明すると難しい話になるのでここではナシにしときます。
③木材に使う接着剤は水性形が適している。
接着剤は何と何を接着するか。用途によって適した種類が変わってきます。鉄やゴムを接着するにはそれに適した種類の接着剤があるんですね。
木工用には水性形接着剤がよく使われます。
木材は水分子に膨張などの化学反応をするので水性形が適しているのです。
これはm-kinoで使っている接着剤です。
おなじみのコニシの木工用ボンドの業務用です。
紙や布にも接着可能となっていますがm-kinoではひたすら木材に使用します。ホルムアルデヒドを使用していません。主に細かい作業を要する仕上げ用に使います。
次に、主剤と架橋剤を混合して更に強力な接着力を持つ二液性の接着剤も使っています。詳しく説明すると難しくて長くなるので割愛します。とにかく強力で水や熱にも比較的強い耐性があります。主に集成材などを作る時に使用します。
④二液性の接着剤で作っているモノの例
これは照明器具の部品です。3枚の板を接着した集成材で作ったものです。
ちなみに集成材というのは、板材、または角材を繊維方向が平行になるように接着したモノをいいます。
木は反ったり膨張したりする材質です。これを何枚かの材料を接着することにより反りや膨張を防ぎ、寸法の安定性を向上させるのです。また強度も増します。
『一本の矢は簡単に折れるが三本の矢を束ねれば折れにくい』戦国武将毛利元就の仰る通りなのです^ ^
他に接着して材料にしてしまうモノにベニヤ板などがあります。ベニヤ板と集成材の違いなどはまた別の機会に書き記したいと思います。
上記の照明器具の部品。はじめはこのように3枚の角材です。この3枚の角材を前記しました2液性の接着剤でくっつけます。この接着剤。実は熱を加えることで接着の硬化を促進する成分を含んでいます。この機械は、上部からヒーターで熱を加え、側面から圧力を加える高周波熱圧着機です。黄の枠で囲った木材が今回接着する材料です。
青で囲んだ板が圧縮板。黄で囲んだのが圧着する材料。他の木材は圧縮の補佐です。
上部から高周波ヒーターで熱を加えます。赤で囲んだのが高周波ヒーター。
赤→高周波ヒーター
黄→圧着する材料
青→圧縮板
ウィーン、ガシャン
接着された材料の角を削った状態がこんな感じ。
それを決められた寸法に切断します。
切断された材料を加工機にかけると…
出来上がりです。
おにぎりみたいな形になりました🍙
このボーリングピンも同じ工程で作られたものです。
このように木工作の現場では接着剤は絶対に欠かせないものですが、家庭で何気なく使っている接着剤も、もしも無かったとしたら不便ですよね。接着剤って目立たないけど縁の下の力持ち。実は凄いヤツなのですね^^
※おコメもしかり。当たり前のように食べていますが、農家の方の努力の賜物なのです。感謝です。
ということで、今回は接着剤にスポットを当ててみました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました^^